誰から愛されていたかを知りたい。

死に逝く前に、人は皆、誰から愛されていたかを、誰を愛していたかを知りたいと思っている。
死を想定せず生きている時には、さほど考えなかったことも、老化や病いで倒れて、死を覚悟した時、深い魂との対話になってゆく。
本当に、夫に妻に愛されていたのか、恋人や愛人に愛されていたのか?
それよりも、自分は誰を愛して来たのか?
神の前の告白のように、とまどう。
それを考えれば、、死の淵にいる時も、頭だけはしっかりと意識を持っていたいと思う。
愛し続けてくれた人の涙を目に焼き付けて、
次なる死の世界に向かうことができれば、
死も恐れず、希望へと想いを馳せる。
たとえ、ひとりぼっちの人も、わずかな時間の中で、温かな手のひらで触れながら、深く魂を癒す言葉をかけてくださった誰かが、そばにいてくれさえすれば、恐怖や不安はうすれて行くのです。
「この世は思ったほどに悪くはなかったかも」と、穏やかな心で死んで逝くために、私達は、優しい笑顔と、決して傷つけない言葉で、看取らなければなりません。