優しい子という名前

「どんな字ですか?」と、聞かれて、
「えーっと、優秀の優です」
「優しい子と書きます」
小さな声で答える。
いつも、名前を聞かれて恥ずかしい。
優秀でもなく、優しくもないからである。
完全に名前負けしているのである。
同じ「ゆうこ」でも、裕子、夕子、遊子でも、いろいろあったでしょ!
親も、それなりに思いや希望があったとは思いますが、今となっては聞けないけれど、
だいたい、父親が、男子しか望まなかった人なので、3人も女子ができてしまい、
上から順番に、れいこ、ゆうこ、けいこと、
決して深く、考え抜いた名前とも思えず、
三つとも、昔の漫画に必ずでてくる名前である。
字画は多いし、形は取れないし、いつもフルネームで書くと、この優だけがはみ出すのである。
理由があれば名前が変えれる法律もあるが、それほどのことでもなく、人に囃されるほどでもなかったが、一人納得することなく、今日まで付き合って来たのである。
ところが、最近、この件で、嬉しいことがあったのです。
かの有名な、太宰治が、一番好きな字が、
この「優」であり、その理由が、優秀なとか、
優れたという解釈でなく、字を縦に分けたら、
「にんべんと憂から成り立ち、人に憂い」
との解釈をされたという。
自分の名前ながら、無視し続けて来たので、
目から鱗
大切な自分の名前を愛せなかったこと、
それ故に、なんだか、人ごとのように扱って来た優子さんの事。
私が、密かに思い描いていた、憂いある人。
そんな女性になるために、ついた名前だとしたら、もはや、間に合わないかも知れないけれど
目指して行きたいと思う。
太宰治さん、ありがとう!