高齢者の力

介護保険が導入された当時、介護員養成講座の講義を、させて頂いた。
高齢化社会に向けて、新たなる有資格者を作っていく施策であった。
教室が満杯になるほどの受講者達の中で、すでに、病院や老人ホームで働いていた中年の女性達が、多く来られていた。
現場を踏んだ達人達は、今や、介護事業の中では、管理者、責任者になられている。
「今でも、現役ですよ!」
と、訪ねて来てくださる。
歳を聞けば、後期高齢者に手が届く年齢。
びっくりはするが、バイクや、自転車で、
在宅を訪問して、重度の高齢者を支援しているという。
「先生、私、変形性の膝関節症やったみたい。
こっちが、介護保険かけなあかんわ!」
と、笑い飛ばす。
閉鎖的な介護の世界が、今や、福祉長者を生み出すほどの介護業界になった。
福祉の大学出の若者達が、大きな企業の施設や、事業所で活躍してはいるが、このおばちゃんたちの功績は、大きい。
豊かな人生経験を積まれ、いきなり変化する老人たちの対応、ややこしい家族との対応など、決して、若い人達には出来得ないことを、難なくクリアされて、貴重な存在である。
元気が一番!働けて有難い!と、縁の下の力持ちを引き受けてくださる彼女たちに、頭が下がる思いである。
先日の大阪の地震で亡くなられた高齢者の方が、長年、子供達の登下校の見守りをされて、テレビの中で、市や学校や知り合いが、感謝の言葉を述べられていた。
亡くなられて、初めてわかるこういう方々の貢献度。
歳をとっても、何か未来のためにできることはないかと、文句も言わずに活動されている。
出来れば、亡くなられてからではなく、生きておられるときに、感謝の言葉をかけておきたいものである。