素直な人

人に対して、素直な人は、若い頃から、
目立ちはしないし、人気者ではない。
攻撃的ではないし、守りが強いので、むしろ頼りないと、思われがちである。
自分に素直な人は、結構いて、そう言う人は、
逆に、人のアドバイスは聞かず、マイペースである。
素直が仇になって、家族からは、
「しっかりして!」
「たよんない!」とか、よく言われたと言う。
ただただ、ハイハイと、人の言う事を聞く人を、本当の素直とは言わない。
私の知る素直な人は、幼い頃からの環境の中で、夢はあっても、野心は持たず、自分自身にも驕る事なく、全てを甘受して、粛々と生きてきた人のことである。
他人のせいにする事なく、冷静に出来事を受け止めて、対処してゆく。
「これ程、混沌とした世の中で、よくぞここまで生きてこられましたね」
と、感心して聞いてみたら、
人に理解されず、誤解されたり、中傷されたり、60年の人生、翻弄されて生きてきたが、
幼い頃から、唯一の味方は本であったと言われた。
好きな本は、朗読できるほど、何度も繰り返し読まれたと言われた。
確かに、私も、人間の言うことは、納得することは少ないが、歴史、科学、文学、の作家たちには、一度もお目にかかったことはないが、
「成る程ー」と、共感したり、教えられたりする事が多く、人生の指針にしてきた感はある。
人に言われて、腹が立っても、静かに、文章に向き合っていると、心が落ち着く。
誰のためにも、生きれず、誰をも幸せにできなかったと言われたが、
「人間は、最後に、その素直さが一番であると、わかる時が来るのよ」
と、私は、その人には、言い続けている。