間も無く、お盆。

「今日から、三日間、家に帰られるから、お灯明は、点けとかんとね。」
幼かった頃は、誰が帰ってくるのか、分からなかった。
夏にお化けが出ると言うのは、幽霊になった先祖が、皆、お盆に帰ってくるからだったのか?
海外に行くと、外国の人から、
「何の宗教ですか?」と、聞かれる。
ほとんどの、日本人が、平気で無宗教と、答える。
特に地位ある人が、堂々と答える。
日本人の多くは、結婚式は教会で、お葬式はお寺で、お正月は神社にお参りに行く。
其の外、クリスマスには、盛大なクリスマスツリーを飾って、パーティーが、開催され、夜中まで大騒ぎ。
それほど深い意味もなく、子供達のために、いろいろイベントを考えたのだろうが、クリスマスの聖夜に、ミサに行く人は少ない。
私たちが子供の頃は、必ず、家には仏壇があり、台所には神棚があった。
「仏壇にご飯を備えてきてちょうだい」と、母から言われると、三角にもられたご飯を、なぜか大切に両手で持って、お仏壇に、そおーっと、供えた。
教えられたわけでもないのに、ちょっぴり緊張して、仏壇の前では、決して粗相をしてはならぬと、誓っていた。
また、父が、会社に出かける前に、神棚の前に立ち、深々とこうべを垂れて、手を打っていると、思わず、私達も直立不動で、こうべを垂れた。
説教されるときは、仏壇の前に座らされ、
「ご先祖様にも、謝れ!」
と、会った事も、話した事もない人達にまで、
叱られている気持ちがして、怖かったのを覚えている。
悪い事したら、ご先祖様が見てるとか、
神様のバチが当たるとか、日本人は何故か、
宗教を脅しに使う傾向があり、おどろおどろしいものになってしまっていた様に思う。
仕事の関係上、スピリチュアルな事を、知識の一環として、真理を学んだ私は、
神様は、人間を愛することはあっても、バチを与えるはずなどないことや、ご先祖様は、
皆が皆、極楽浄土には行けず、むしろ生きてる私たちに対して、救いを懇願しているとの説もある事を学び、親達が、子供達のしつけのために、神様や仏様を利用したのだと分かり、がっかりしたのである。
しかし、本当の意味も分からないまま、
家の中に、聖なる場所があり、悲しかったり、寂しかったりした時に、心静まる場所になっていた事は良かったかもしれない。
一年に一度だけ、無罪放免、あの世とこの世の道ができ、亡き父や母が帰ってきてると、
夢を見させてくれるお盆という行事も、粋な計らいと、素直に思える歳になりました。