反面教師

未だに、私の事を、「先生、お元気ですか」と、声をかけてくださる生徒さんたちがいる。
今から、考えれば、先生と呼ばれるほどの事を、教えては来なかったので、恥ずかしい。
専門的な技術は、少しは指導できたかもしれないが、人間としては、何ら、変わりない。
もう、教壇に立つこともないが、歳を経て、
少しは、ましな講義ができるかもしれない。
むしろ、生徒さんから、教えを請いたいくらいである。
子供は親を越え、生徒は先生を越えて、いつの日か、逆転する日が来る。
我が子供にも、我が生徒にも、心に残るような言葉を伝えたのかと、考えることがある。
本当の本当の言葉は、未だに伝えていないような気がしてならない。
この世に、生まれてきたことすら、奇跡であるのに、大切な存在として、出会えた事は、
きっと、意味があったはずで、通りすがりの人では無い。
力量不足の親であり、先生であったが、
どうか、反面教師で、立派な人間になってと、
願わずにはいられない。