死ぬまで、元気で暮らしてね

一昔前は、ベッドが空いてれば、いつでも入院可能であった。
「お祖父ちゃんが、入院したらしいよ」
と、聞けば、いつの間にか、そのまま、病院で、亡くなっていた。
いまは、高齢になり、動けなくなると、在宅に、介護ベットが置かれ、介護や看護やドクターが入れ替わり、訪問する。
まるで、病院の病室に早変わりする。
考えれば、病状がひどくなれば、いつでも、入院できたので、嫁は良かったかもしれない。
しかし、今は、こんな時代になったので、元気なうちから、介護付きの有料老人ホームを、家族は進める。
住みなれた我が家から、離れたくなくて、意地でも、家にいるぞと、頑張れば、息子夫婦とは、不仲になり、家の中で、孤立して行く。
数年前、介護保険で、手厚い介護を打ち出したが、あまりの高齢者の人数に、お手上げ状態となり、国も市も、以前ほど、声だかには言わなくなった。
医療保険介護保険の財政は、もはや、少子高齢化に突入し、現実のものとなり、最悪の状態である。
簡単には、入院をさせず、在宅、あるいは、民間の有料施設を選択させるように、公費を使わない作戦が始まったのである。
人、それぞれに、選択の自由があったが、現在では、「致し方無し」で、不満と不安の状態でいる高齢者が、増えてきた。
もはや、介護はしません、予防介護に、国は応援しますよ。
死ぬまで、元気でいてください。
病気にはならないでください。
病気の後、障害者にならないでください。
そして、「健康長寿!」と、大声で、方針は変えられたのである。
何十年と、高齢者、弱者に関わってはきたが、
今から、これからが、本腰を入れて、綺麗事では済まされない終活を考えねばならなくなったのである。