樹木希林さんが、亡くならなかったら、
多分、興味も、持たなかった映画である。
実際にあった、つなぎ詐欺事件をテーマにした
遺作である。
詐欺事件が、話題になったのではなく、
６０代の女性が、30代と偽り、恋人の為に、
詐欺をして、その女性に注目された事件である。
浅田美代子は、はまり役かもしれない。
若い頃から、眼を見張るほどの美人ではなかったが、笑顔の可愛い、幼さの残った女優さんであったと記憶している。
実際、私の周りにも、60代で、上手くいけば、
40前後くらいに見える人は、沢山いる。
今は、整形手術までしなくても、皮膚科に行っても、シワ取り、シミ取りなんでもオーケー。
最近は、専用の化粧品まで、市販されているので、ちょっと、美に対して思いが強い女性たちは、まめである。
ただ、容姿的に老化をごまかすことはできるが、持って生まれた無邪気さや、少女っぽさは、修正不可能である。
男はお金、女は容姿が、優先順位になった昨今、もともと兼ね備わった人は、得かもしれない。
しかし、現実離れした夢の世界で、自分を見失い、官能の世界に依存して、犯罪に至る可能性もなきにしもあらず。
時々、私とても、体調の良い日に、デパートの化粧品売り場やファッションの店で、７０歳という数字が、わかると、
「えーっ！ウッソー！」と、オベンチャラも入って、オーバーにのけぞる店員さんもいる。
別に若作りしてるわけでも、ボトックス治療しているわけではないが、ヨレヨレのお婆さん風には見えないよう雰囲気だけは、かろうじて努力しているので、一瞬のごまかしは効くのである。
60代を30代に、70代を40代に見せるテクニックは、大半の女性達には、備わった技術である。
さすが、80歳代、90歳代、１００歳代は、ちょっと無理かなとは思うが、これだけ進化した世界の中では、分かりませんが？！。
この女性に対して、自分を偽って生きる深い悲しみを感じてしまうのは、私の中で、老いてゆく事の悲しみを共感しているからかも、知れません。
