病院のはしご

朝から、バタバタと、自分の定期検診に、
元気に出かける。
普段の朝は、身体もだるく、もたもたしているが、病院となると、何故か元気になる。
ほんとはしんどい時に行くところだが、
2ヶ月に一回のメンテナンス。
最近は、テレビでも、かなりの高度な医療の、
番組があるので、ドクターもやりにくいだろうと思う。
中途半端な知恵つけて、自己判断で、ドクターの診断と一致すれば、
「ああ、良かった。」と、安心を買いに来る。
そんな高齢者が、わんさかいて、本当の大病の人たちは、苦しい中を、長い時間待たねばならない事にもなる。
未曾有の高齢化社会に突入した今、医療も介護もパンク寸前。
国も、打つ手を考えて、とにかく予防の段階で、在宅で元気でいてね。
それなら、たいした金額にはならずである。
病院は、緊急重病患者のために、そして、加齢による習慣病、慢性疾患の長期療養型は、
無くして行く方向に舵取りをした。
手厚い介護で、安心人生のフレーズも、なりを潜め、国指定の老人施設はこれ以上作らず、
民間におまかせ。
お金のある人は、自分のお金で、高級老人施設でも、どこでもご自由にの話。
と、言うわけで、お金ない私は、病気にならない為の、予防検診が必要となる。
整形外科、消化器内科、心療内科に、口腔外科と、病院を一回り。
薬は、安定剤さえ頂けば、痛みも、不安も軽減できるすぐれもの。
要するに、高齢で、ホルモンは分泌せず、
自律神経は、乱れて、副交感神経が、調整できず、突っ走り出したら、止めようがない。
安定剤は、その名のごとく、
「まあ、まあ、まあ、」と、心身ともに、まあるく、穏やかにしてくれる。
自力で、直せない、言い出したら聞かない、
この性格を、一粒の薬が、いとも簡単に、効果を上げる事自体が、ありがたい様だが、恐ろしい。
若い頃から、家族の悩み、仕事のストレス、
それが消えたら、次なるは自分の行く末の不安、そんなこんなできた長い人生、
「薬に頼って、何が悪い!」
と、反発したくなる。
病院の診察を終えて、空を見上げれば、
優しい風と、澄み切った秋の空に、ホッと一息。
深呼吸して、タクシーに乗り込み、
入院している主人の病院に、向かいながら、
老老介護の現実を味わっている。