若い美学、老いた美学。

女性のための、化粧品やサプリメントの通販テレビに、一般女性が出演する。
何故か、必ず、年齢も紹介される。
その数字からは、想定外の女性達の姿を見て、
効果を演出する。
女優さんほどの美人ではなく、自分とはかけ離れていない女性達を見て、
「私にも、希望があるかも!」
と、夢と勇気が沸くのである。
いつの頃からか、女性の美の条件が、
「歳より若く見える!」
に、なってしまった。
美魔女なる、魔法使いみたいな言葉まで、産んだのである。
確かに、美容クリニックや美容エステ、痩身ジムなど、お手軽に、シミ取りシワ取り脂肪取りができる世の中になり、お父さん達は、小綺麗な奥さんと一緒に歩いて、ご満悦である。
しかし、現実は厳しく、人生70年も経つと、ピカピカだった物も、人間も、くたびれて、
あちこち壊れていくのである。
外から見える範囲は、どうにかごまかせても、見えない部分や内臓までも、なかなか、完璧修正は難しい。
確かに、湯水のごとく、お金をかけて人工的に
整形したとて、バランスは悪く、逆効果にはなる。
と、言うことで、高齢者の美は、若く見えるでは、ないような気がする。
顔のシミもシワもなく、身体のたるみもないような、あるべきものがないつるりとした違和感よりも、年相応な顔と身体に、自然にマッチした、ヘヤーやファッションが、計算されて、表出できるテクニックを持ち合わせていたい。
病気になれば、たちまち、白髪染めもできず、
毎月注入していたヒヤルロンさんは出来ず、
手入れは行き届かなくなって、お見舞いに来てくれた人は、別人になったことにびっくりもあり得る。
若い時は、何をしていても、何もしなくても、
美しい。
歳を経て、若く見せるのは、美ではないような気がする。
誰もが通って来た若い美を経験した私達は、
次には、歳を重ねた美を経験してゆく。
そんな美学を教えてくれるサロンがあれば、
なお、嬉しい。