喫茶店でのひと時。

昔から、あえて、朝食を食べずに、喫茶店でモーニングを食べに行く習慣があった。
何度か、住まいやオフィスが移転しても、
かならず、落ち着く場所が見つかる。
私にとっては、仕事前の心の準備と、癒しであるので重要度は高い。
店の前を通れば、コーヒーの香りが漂う純喫茶は、鳴りを潜めた。
代わりに、ファーストフードのマクドミスド、スタバなど、若者向きのショップが増えて、
地方の田舎に行っても、駅前には道の駅のそばに、一軒はかならず存在している。
旅に出れば、ご当地食材があるのに、いつもの看板を見ればホッとして、安心する。
それはそれで不満はないが、高齢者にとっては、安価で便利ではあるが、居面いのは確かである。
若いファミリーやカップルが多く、雰囲気を壊すような気がして、遠慮である。
しかし、飲食店だけは、どこに行ってもあるのでありがたい。
ホテルはもちろんのこと、デパート、ショッピングモール、学校、病院、市役所など、
今の所、ないのは警察署くらいである。
自分に見合ったスタイルの雰囲気と環境が合えば、私は長く通う方だが、時々、店の方に事情があって、閉店されることになる。
「もう、おかげさまで40年させて頂きましたので」
と言われると、オープン当時からお世話になってきたので、のれんを外す店より長生き?と、あきれることもある。
今日もまた、窓から空や木々の見える、いつもの喫茶店で人間ウオッチング。
芦屋ながらの、一人暮らしのモダンな高齢者が、集う店である。
名前も住所も知らない、声をかけ会うこともないけれど、喫茶店の中だけの顔見知り。
何だか、古くからの知り合いのように、
いつもながらの出で立ちに、注文されるオーダー品までわかっているのが、不思議である。
月曜日の朝、珍しく、若い青年がスマホを見つめ続けている。
ながらコーヒーに、ながらトースト。
最近の若者の、そんな姿には慣れてはきたが、
1時間以上も、スマホ片手に何を見てるのかを、暇な私は、気にはなる。
チラッと横目でのぞいたら、FXのグラフが見えた。
なるほど、若者は時間を無駄にせず、
座って居ながら、金儲けですか?
なんだか寂しい世の中になってきたなと、
思ってしまうのは、勝手な老婆心かも知れません。