私達の年代で、エンディングノートを書くのが、一時流行ったことがある。
福祉会館の教室や、ショッピングモールのイベントや個人のサロンで開催されていた。
その頃は、全く興味もなく、誘われても断ってはいた。
最近、ふと思うことがあって、私風エンディングノートを作ろう!会を、一人で開催した。
何しろ、残す財産もなければ、大した仕事の功績もないので、誰かに伝える時世の句さえ、ありはしません。
となれば、後は、70年で出会った人間関係。
大きな紙のど真ん中に、上下に一本線を引き、下が0歳、上が100歳。
右側が男性、左側が女性と設定。
名前を書くだけでは物足らないので、
自分にしかわからない評価の色で、名前を書こうと、決めた。
自分にとってであるので、悪気はないはず?
まあ、たかだか70年程度の年表ならば、
記憶は残っているはず。
秋の夜長、間接照明の下で、恨みつらみを思い出しながら、ワクワクしながら書いてる自分が、怖いかも!
この世で最初に出会った両親や家族から書き出したのではあるが、 書き進んで行くうちに、
私が決めた良い人、悪い人、普通の人の色が、思わぬ方向に、なって行く。
私の中の思い出と、心模様をたどりながらの作業は、思ったほどに簡単ではなかったのである。
たった70年の歴史の中で、これほど多くの人間と触れ合ってきたことに、びっくりする。
まだ、30歳代までしか書き込んではいないが、浮き上がる色どりを見た時に、華やかなはずの若い頃ではなかった事を、感じ取れる。
開けられたパンドラーの箱。
取り出されて行く哀しみや苦しみが、
エンディングノートに書き綴られ、浄化されて
出来上がった時には、爽やかな風がわたしの心に吹くだろうと思う。
生きた時代の中で、これほどの人たちと出会い、成長できて今がある事に、私はきっと、
「満点!」をつけることにはなる。
使ったお金は覚えていないが、出会った人達は、しっかり脳裏に刻まれていることに、
「人との出会い」の大切さを改めて知ることになったエンディングノートでした。