イメチェン

若い頃から、自分のイメージは固定しており、髪型、化粧、ファッションは固定している。
突拍子もなく華美なものはなく、形も色合いも、ほぼスタンダードな装いである。
クローゼットは、女性ものとは思えぬほど、
黒っぽいものが、揃っている。
そんな私も、時々、自分らしさを脱ぎ捨てて、変身願望が、突如起こることがあり、
「これ誰の?」と、言われそうなくらいのドレスを購入する時がある。
たまたま、講演会などもあるので、奮発して購入し、一度は着るがそれっきりである。
グレーや紺色のどこかの会社のユニフォームのようなスーツは、何の違和感もないが、
歩くたびにスカートの裾が揺れるようなドレスは、気恥ずかしい。
でも、不思議と、私の中に潜む女性の本能がそうさすのか、それなりに髪も整え、顔も作り、身に纏うと、シンデレラのように魔法がかかって、心が踊り出す。
普段から、公的機関や、教育や、事業計画など、お堅い話ばかりの世界にいて、自分のストレスを癒す道具立ては、風景や絵画や音楽などであったが、こんな風に自分のイメージを変え、創作することで、初めて出会う人たちの受け止め方も違うし、自分の意識も思考もDNAまでも変容出来そうな気がして、楽しい。
どこを切っても同じ顔した千歳飴みたいには、
なりたくない。
ひょっとしたら、しまいこんでいた本当の私が、目を覚まし出したかもしれない。
長い人生、3度くらい、変身できたら嬉しい。