遺すもの

「どうしたん?」
夜遅く訪ねて来た息子にびっくり!
「メールの返事がなかったから、何かあったんかなと思って・・・」
さりげない気遣いに感謝である。
「先生、いかがお過ごしですか?」
季節の変わり目に、必ずメールを下さる元生徒さんに感謝である。
「何かあれば、医療と介護は全てお任せください」
と言って下さる専門家の知り合いにも感謝である。
最近は、ありがた婆さんのようになっている。
仕事柄、人の生き死にに深く関与することがあり、亡くなられた後、遺品の中にその人の人生が見えて来る。
親しい人もおられず、独りぼっちで逝かれた方も、写真やお手紙などの遺品から、その人となりを知ることがある。
最近は、エンディングノートを残したり、生きてる間に「お別れの会」を開いたりと、其れ相応の歳になると、死の準備をする人達がいる。
私も又、死に急ぐように断捨離したり、何かを残さねばならないことに焦る事があったが、
最近は、あるがままに生きて行こうと思ってきた。
蒔いた種は、いつの間にか、花が咲き実がなっていることを知ったからである。
私を取り巻く人達の中に、既に、私がいたのである。