最後の選択肢

普通の暮らしの中で、立ち止まらなければ、通り過ぎてしまう悲惨な話が沢山ある。
私の周りにも、手の届く場所で三人が、自ら命を絶った。
若い二人は薬で、年老いた人は川の中に消えたのである。
前日までデパートに買い物に行き、夜にお酒を嗜み、健康維持の施しをして、いつも通りの
日常から自らを切り離し、闇の世界に向かう。
彼らにとっての最後の選択肢であったと思う。
元気だった頃を知る残された人間にとっては、
辛すぎる選択肢である。
わかって欲しい!理解して欲しい!そして、
助けて欲しい!と心の底で叫んでいたのなら、
引き止めれなかった自分を責め続けることにはなるだろう。
「死は神様が決めるもの」
と、昔から、私はそう思って来た。
この世に生を受けたあの日から、どうあれ、
原因も結果も知った上でのやりたい放題の人生の中で、自由にキャンパスに描いた絵を、最後に眺めて見れば、答えは出るのである。
モノクロの絵、マンガチックな絵、華やかな絵など、それぞれ色を重ね、書き直し、さらには、新しいキャンパスに変える人もいたかも知れない。
誰からの評価のない作品も、神様だけが全ての絵に「花まる」をつけてくれると信じている。
だから、
「生きていて欲しい」と、願っている。