弱い人でいい

どんなに悲しいことや苦しい事があっても、
絶対、泣かない人もいる。
私は小さい頃、良く泣く女の子だった。
人の悲しみが自分に重なり、他人事なのに、
涙が止まらない。
涙腺が弱いからか、めばちこばかりが良くできて、いつも目を腫らし眼医者さんばかり通っていた。
名前の通り、優しい子だったと思う。
しかし、歳月は恐ろしいほど人を変えてしまうのである。
「涙が出ない」のである。
ちょっとやそっとでは、泣かなくなった。
「老化で起こるドライアイと違うの?」
と、言われるが、私には身に覚えがある。
過去を振り返れば、こうなっても仕方のない環境であった。
「なにくそ!」と、女だてらに言う言葉ではないが、意地悪されても誰にも言いつけず、泣いていると弱虫扱いされて、大人しくしているとますますエスカレートしてくるのである。
父は子供のことには無関心、母は心配して泣くだけ、兄弟姉妹はなおさら聞かない。
悲しいことに出会うと、一人で部屋に引きこもり、涙が引いたら何事もなかったように振舞っていた。
家庭の中でさえ、そんな環境ではあったので、
そこから、「なにくそ人生」が始まったのである。
長い月日をかけて泣き虫優子は姿を消した。
「泣いていたって誰も助けてはくれへんわ!」
と、反動と訓練が、今の私を形成したのである。
最近わかったことだが、女は弱いほうが幸せになる確率は高いと言うこと。
流す涙は優しさであり、弱さは謙虚さであると感じている。
強くなったからといって、何にも良い事なんかない。
もし、自分のことを弱い人間と思っている人がいたら、その弱さを大切に持ち続けて欲しい。
貴女の弱さは貴女の個性として、いつか輝くときがあると思う。