CTには映らない

「異常ありませんよ」
と、ドクターには言われた。
脳のCT画像には映らないが、私の見解では、
明らかに、変化をきたしている。
科学や医学が進歩はしているが、驚異的に伸びてきた寿命からくる認知症に関して、100%の答えは無いのである。
最近、一般人までが、
認知症と違うの?」
発達障害と違うの?」
と、簡単に言葉にする。
専門家から、診断されたわけでも無いのに、
失礼な話である。
日常の人間関係の中で、繰り返されてきた行為、行動のなかで、自分がまず気づくのである。
普段から、深い話もせず、たわいない会話ですませてきた人とでも、違う意見になると、エスカレートして話が壊れて行く。
相手のことを理解した上で付き合ってきた私が、その意見に妥協できず、受け入れられなくなったのである。
「そうやね、そうそう」
と軽く流して来たことが、何故か食い下がって行く自分を押えられないのである。
左脳はものの組み立てや計算を司る。
右脳は感性、感情を司る。
老化が進んでも、最後に残るのは五感である。
嬉しい時には、笑い、悲しい時には涙し、
苦しい時には怒るのである。
美しい風景、音楽、アートの世界は、右脳を衰えささないのである。
次々に起こる出来事の処理に追われ、私はすっかり、そんな時間を持てなかったのである。
だから、使わなくなった右脳は朽ちて来たのだと思う。
「1+1=⒉でしょ!」
と叫んでいた自分の異常さに、目が覚めたのである。
物忘れだけが、認知症の始まりでは無い。
確実に、心の潤いを失って行く現象もある。
まだ間に合うなら、右脳をリセットして、
明日からは、豊かな心を維持して行きたい。