個性を潰す

爪切りで、プチンプチンと爪を切るように、
飛び出た個性を潰して行く親達もいる。
元気すぎる子をガサツな子という。
何でも聞き回る子を、うるさい子という。
霊感の強い子を変わった子という。
この世に一人として、全く同じ人間はいない。
そして生まれついての悪い個性など、一人としていない。
何を基準にして、評価するのかわからないが、
昔から、個より公を重要視する傾向の日本の中は、窮屈であり個性が成長しない。
産まれたまんま、何も教えず放置して、個性が伸びるわけでも無い。
社会のマナーや常識は、教えなければならないが、その子の突出したものを只々否定して行くのもどうかとは思う。
たとえ、我が子であっても、手掴みで握りつぶしてはいけない。
伸びようとしている自然の方向から逸脱して、
背骨までが、捻れて行く。
そんな環境の中で育ってしまった大人達と、
仕事柄、よく遭遇する。
固く閉ざした本心から、時々溢れ出す素直さを
垣間見ることがある。
誰が、その柔らかな心を石のように固めたのか?
乾いた粘土をほぐして行くには、潤いのある水と長い時間が必要である。
何層にも重なって作り上げられた人格。
その中に、キラリと光るダイヤモンドが隠されている。
「綺麗ね。」
と褒めると、
「エーッ!」と、本人がびっくりする。
本人も気がつかなかった美しい個性の煌めき。
ダメだと言われ続けて来たことが、隠し続けて来た醜さの感性が、
「貴方らしさ」
であり、希望に繋がることを知る。
私もまた、変わった子で良かったと、
今は思っている。