最後の手作りケーキ。

33年前の、森永クッキングスクールのレシピの中にあった、chestnut.mont.blant(チェスナットモンブラン)を、思いつきで、姉と作って見た。
何しろ、レトロなケーキなので、どうなるかはお楽しみと言いながら、老婆二人の昔取った杵柄。
「今更、こんなレシピ見なくても、スマホで見ればあっという間やん」
と、言いながらも、手は止まることなく、見事に工程をこなして行く。
「初めてこのケーキ食べた時は、美味しくて感激したけど、こんなに市販の美味しいケーキがあるのに、感激するやろか?」
と、言いながらも、さすが姉妹のコンビネーションは素晴らしく阿吽の呼吸。
レトロなレシピは、老眼鏡をかけていても見えにくく、
「お砂糖、130グラム?間違いない?」
とか何とか言いつつ、出来上がり、完成!
見た目も味も、33年前の懐かしい味である。
しっとりではない、モコモコ感のあるスポンジケーキに、サツマイモをスィートポテト味にして、生クリームホイップとのデコレーション。
「お姉さん、美味しいね!」
「ほんと、美味しいね!」
33年前の、優しい姉がそこにいたのである。
もう、二度と、二人で作ることはないだろうケーキ作りの時間。
感謝の気持ちを、心に刻んだ。