自分の肉体を愛おしむ

自分の肉体に対して神経質な人は、多くいる。
身体のどこかに、小さな発疹が出来ただけでも、気になるらしい。
ちょっとした温度差にも敏感で、着用する衣類にも大層気を使う。
いわんや、口にする食べ物に関しては、身体に悪いものは決して摂取することはない。
かなり、意思が固く、妥協しないだけなのに、周りからはいい印象はないらしい。
長い付き合いの友人なので、最初の頃は、
「この人、大丈夫かしら?」
と思うこともあった。
「コーヒー如何?」
と、勧めても、
「コーヒーは飲みません。紅茶で。」
若い頃から、こんな感じであったらしく、悪くもないのに、
「男のくせに神経質!」
「自分勝手な人!」
など、事あるごとに家族や知り合いからは、
付き合いにくいと、敬遠されたと言う。
こういうケースでは、ただの神経質が神経のおかしい人になってしまうのが恐ろしい。
それぞれ個性があり、個人で行動しているときは、何も問題は起こらないが、集団になると、
日本人は特に多数決になる。
机の角で、足をぶつけて傷を作っても、舐めて終わりの原始人みたいな私からすれば、羨ましい限りである。
自分の肉体には無頓着で、美味しいものなら、
後でどうなろうが、抑えきれずに手が出てしまう。
暑かろう寒かろう、見てくれ重視の格好で出掛けてしまい、風邪をひく羽目に陥る。
本当に、じっくりと自分の肉体のことを考えたことがなかったかも知れない。
五体満足で、奇跡のように生まれて、すくすく勝手に育っただけで、有り難がったり、愛おしんだりしたこともない。
以前、何かの本で、
「神様は、精神も肉体も完璧な人間を創造したが、悪魔に精神を支配されたために、神が関与できる肉体だけが残されたので、大切にしなければならない」
と言う文章を見たことがある。
この地球上に、これ以上完璧な生き物はないし、科学が進歩してロボットができたとしても、
人間にはかなわない。
と言うことを考えれば、美男美女でなくても、少しばかり足が短くても比ではない。
自分にだけ与えられた肉体を、大切に扱い、
「元気な身体があるので、仕事やスポーツが出来て、生かされています。感謝以外ないのです。」
と、言い切る言葉に脱帽である。