祈りと出会う。

まさに、今の時代に頂点にいる人にとって、
癌の告知は、過酷である。
目の前が真っ白になり、震えがくると言う。
絶望との葛藤が始まる。
ドクターが、治療すれば治癒しますと言われも
、耳には入らず心が否定する。
半信半疑の状態から始まり、徐々に現実との戦いである。
「なんでこの私にくるの?」
と、憤りと怒り。
「こんなこと有り得ない!」
自己否定の連鎖。
「なんで良くならないのか?」
効果、成果が掴めないと、恨みと失望に陥る。
どんなに、冷静沈着な人でも、精神的な動揺と絶望の過程を歩む。
しかし、人間の生命力は強い。
海の底まで沈んだ魂が、すっくと立ち上がり、再生する姿を、私は何度も見て来たのである。
人の魂は、与えられた苦境の中から生まれ、そのために存在していたのではないかと思えるほどの奇跡が起こる。
肉体に翻弄されていた精神が、主導権を握り、
見事にコントロールしだすのである。
日常の中で、心の平穏を取り戻して行く。
最近、私も、身体の検査データが、際どいラインになり、たったそれだけでも不安と恐怖に襲われ、自分を見失いそうになった事がある。
いつ何が起こってもおかしくない歳になり、
物の整理や準備は出来ているが、受け止める心の準備は、まだ出来てはいない。
その時になって、本当の感謝が生まれ、祈りを知ることになる。