私の真実が終わる時。

「連絡はないけれど、元気でいますか」
から、始まる玉置浩二の「出逢い」の唄が、
大好きで、疲れすぎた心に聴かせる事がある。
長い人生の中で、一瞬のすれ違いのように、出逢った人、乗り間違えなければ、決して出逢えなかった人、姿が消えるまで、
「行かないで!」と、言えなかった人。
寂しげな瞳や、悲しそうな背中や、冷たい指の先まで、今も忘れることはない。
出逢ったときから、別れる事が決められていた人には、言葉を交わす事もなく、流れる涙も見せる事はない。
初めから、別れる事を決められていた掟には抗うことは、決してしない。
あれほどに慕っていた人も、信じていると願った人も、期間限定。
溶けた氷のように消えてゆく。
繰り返される四季が移り変わり、幾度もの冬を乗り越えて、春が来るたびに脳裏に浮かぶ。
貴方のことも、あの人の事も、しっかりと立ちすくんだ魂が、風景の図柄の中に、烙印のように浮き上がらせる。
優しい笑顔、駆け寄って抱きしめられた胸の温もりは、私の中でいつまでも生き続けている。
ロウソクの灯火のように、燃え続けている。
「私が死んでゆく時に、貴方の思い出も連れてゆく」
私の真実は終わりを告げて、貴方の真実だけが、この世に残り、貴方が死んで行く時に、二人の本当の真実が、跡形もなく飛び散って終わる。