家庭内ひきこもり

結婚当初、小さなずれで、夫と喧嘩した時、
必ず私の部屋に、何時間もひきこもったのである。
精神を落ち着かす為に、良からぬ事を考えぬ為に。
黙ってるのが一番と、思っていたのである。
1時間くらいで、何事もなかった様に出てくる時もあり、三日間くらい用事以外はひきこもることもあった。
そんな離婚回避術も、子供が巣立つと、私がいてもいなくても困らない顔をしていた夫に、経済も別にした別居結婚を提案したら、止めることもなくすんなり別居。
今なら、「卒婚です」と、堂々と世間に言い訳はできただろうが、当時は、周りから白い目で見られていたと思う。
夫が亡くなり、40数年の結婚生活にピリオドは打たれたが、形だけが残り、二人の間には
最後まで話し合うこともなく、中途半端に終了した事の悔いが残った。
相手がいれば、思う存分言い合えるが、もはや、相手がいなくなった今では解決のしようがない。
私にとってのひきこもりは、訴える事を諦め、思いを封じ込めた逃げの手段であった。
自ら沈めたパンドラーの箱を、生きている間に開けなければ、心の解放はないのである。