令和の響き

しゃがみこんだ目線を上げて、
閂を外して、窓を押し広げる。
待ち望んだ春光が、瞼を照らす。

青い扉を通りぬけたら、勇気と出逢い、
見失った日々を、取り戻す。

一年にたった一度だけの、約束の開花。
背後から春一番が、粉雪を追い抜いて行く。
ハート形の花びらが、人並みの中で舞い踊る。

瞼を閉じれば、
遠い昔、懐かしい風景の中で、
令和の響きが、聴こえてくる。
女神の桜が、歓びを伝えに来た。