困らせている人が困っている。

仕事柄、相談がよく来る。
紹介者はいるが、全く面識はない。
困ってるので、すぐ会うことにはなる。
時間を置けない話である。

いきなり、弁護士や警察に行くような話ではないが、必ず、話の中の被害者加害者が、登場する。
相談に来られるのは、大概、困っている被害者側の人である。

一方的に話されるので、普通に聞けば、
「大変でしたね。お疲れ様」
になるのだが、よくよく聞いてみると、渦中の加害者が、弱者の場合が多いのである。

言うことを聞かない子供だったり、認知症を患う高齢者だったり、自立出来なくなった両親だったりする。
暴力、暴言があっても、社会的弱者である時は、一概に「困っている人」の方だけを助けるわけには行かない。

膨大な話の中で、誰が主人公で、一番救わなければならない優先順位のトリアージを、決めて行かねばならないのである。

「そんなお母さん看られていて、大変やね!」
と、面倒見ている側の人に同情しがちではあるが、私から見れば、まず困らしている張本人を、救わなければならない。

だから、最後には紹介者や相談者の思い通りの答えにはならず、私は、敵になってしまう事もある。
善悪や、損得でははかれない弱者の世界に寄り添う立場になるには、よほどの覚悟と専門的知識が必要である。

どこに行けばいいのかを、案内するくらいしか出来ないのである。