昭和、平成、令和と三つの時代を越えるほど長生きをした。
その節目に、それほど身の引き締まる思いもなく、淡々と過ごして来たが、振り返れば、
人生の明暗が浮かんで来る。
若く、希望に満ちたエネルギッシュな昭和の時代。
家族、仕事、経済の問題に翻弄された平成の時代。
私にとっては最後の時代となる令和。
一枚のキャンパスに、時代を彩れば、ピンク色からグレーに移り変わり、最後の令和は降りしきる雪のように、真っ白に染まりたい。
明治、大正、昭和、平成と、どれも力強い男性的な響きの名前であったが、令和は、聞いた時から、美しく、清らかな音色のように心に響いた。
漢字で書いてもひらがなで書いても、気品ある女性の姿が思い浮かぶ。
憂の中に凛と佇む風情を感じる元号である。
悲惨な戦争が終わり、絶望の中で、夫や子供達を支え続けた女性たちの影の力が、今の豊かな日本を形成したと思っている。
大地のような母性と忍耐が、日本を支えて来たと言っても過言ではない。
「自分を犠牲にしてでも」
という信念が、あの暗いトンネルを貫いた。
今、その時代の女性たちが、100歳を迎えようとしている。
平成生まれの孫の様な女性達が、容姿端麗、頭脳明晰となり、社会の中で輝いている。
そんな女性達の姿の中に、自分たちの夢と希望を見てきたのである。
若者の未来を祈り続けて来た人たちのことを、忘れてはならない。
令和という時代に、女性達が活き活きと暮らして行ける世界になってほしいと、願っている。