孤独に楽しみはない

最近、一人暮らしや独居暮らしや孤独の楽しみなど、美化して書かれている本や雑誌が出版されている。

そんな風に書いている人達は、きっと、人、物、金に不自由していない方々である。
もしくは、もっと深いところで孤独であり、自分を勇気づけるために、書かれているのかも知れない。

孤独とは、一瞬でなるものでなく、生きてきた経緯や出来事が積み重なって、仕方なく追いやられてしまう状況である。
自ら、孤独になりたい人はいない。

この世で呼吸はしているが、死んでいる。
あの世で生きてるように、暮らしているのである。
シャボン玉の中は、無風で無音、薄皮一枚隔てた外界の様子も良く見えてはいるが、透明人間の様に、人並みを浮遊する。

携帯電話に着信履歴はなく、玄関のチャイムはならない。
インク消しで、自ら消してきた過去は、パンドラーの箱の中。

孤独の楽しみなど、皆無である。
楽しみかたを忘れ、喜びを見いだせず、時間は止まっている。

「頑張りましょう!」
と、叫ぶ声も、遠くに聞こえているが、何に、頑張るのかがわからない。

それでも生きているのは、孤独な人の後ろに
チョコンと神様が背中合わせに座ってる。
そんな人達と、私はたくさん出会ってきた。