この人に会えたから

一点の曇りもなく、この世の中で信頼できる人は、何人いるのか?
この人と、出会えて良かったと思える人はいるかと考える事がある。

もちろん家族も含めて、他人もである。
少し離れた関係なら、関わらないので、
「いい人」は沢山いる。

人生の中で、そばにいて深く関与した人限定である。
もちろん、こちらはそう思っても、相手からすれば、重要度はどうかはわからない。
一方的判断にはなる。

私には、一人だけいる。

ちょっとだけ苦しいときや悲しい時に、助けてくれた人いたと思うし、心配してくれたり、思ってくれたりの人もありがたいことに、少なくはない。

私にとって、その人と出会わなかったら、この世に生きてきた意味も、真実も見出さなかったかも知れない位の人である。

女性である。

我欲のない、シンプルな人である。
いつ、出会っても、物事を重く捉えず、引きずらない爽やかな風の様な人。

幼い頃、2人で、家の庭でままごとをして遊んだ。
生意気な私は、いつもお母さん役。
お庭に咲いたお花や葉っぱで作った料理を、
いつも彼女は黙って食べる子供の役。

「残さず、食べるのよ!」
偉そうなことを言う私に、彼女は可愛い笑顔で、微笑んでいた。

一事が万事の、傲慢な私に文句一つ言わず、
何十年が過ぎたのである。

あの時、何で、
「私も、お料理が作りたい!」
「お古のお洋服は嫌だ!」
って、駄々をこねて泣かなかったの?

お婆さんになってしまってからでは、取り返しのつかないことを、いっぱい貴方にしてしまったことを、後悔してる!

何があっても、何をしても、わがままな私を受け止めて、一度も貴方の怒った顔を見た事がない。

そんな人が、私の妹であったことを、出会えた事を、私は誰に感謝したらいいのかを、いつも考えながら泣いている。