五月病は病気じゃない

グリーンのガラス細工のような新緑の木漏れ。
溢れる暖かな春の日差し。

思い切って、部屋から飛び出し、遠くへ車を走らせる。
車窓から抜けて行く風に、心を脱ぎ捨てて行く。

五月病なんて、ありはしない」
清涼水のように澄み切った空気を、胸いっぱい吸い込んだら、悲しみが吐き出せる。

後ろ座席で、何も言わず、座ってさえいてくれたら、私が連れて行ってあげる。
苦しい呼吸も楽になり、辛い涙も止まる場所まで。

美しい青い空の下で、小さな芽吹きから始まる悠々たる未来は、すべての人達に与えられるためのもの。

「五月の病気」なんて、誰がつけたか知らないけれど、美しい自然が、貴方を裏切るわけがない。

少し疲れただけ。
少し休めば、優しい五月の風が、悲しみを運んで行ってくれるから、
安心してね。