唐突に、襲ってくる。
時計の針が止まるように、思考ができない。
体温調節が狂い、出口を失った体温がこもる。
カタカタと音を鳴らして、負の回転扉が、押し戻してくる。
互い違いの歯車が、歪みの中でうねりだす。
脱出するためのパラシュートが開かない。
差し出された水を飲み、ゆっくりと呼吸する。
吸って吐いて、吸って吐いてを繰り返す。
振り切った脈が、なだらかに落ちて行く。
「大丈夫ですか?」
心配そうに、私の顔を見つめている。
「ありがとう、落ち着きました。」
宇宙の法則に委ねさえすれば、もといた場所に着地する。
そして、側にいる人の優しさで救われる。
経験のない医者が、
「パニック障害」と、診断する。
これほど、自分の状態を把握できているので、パニックではないのである。
ジェットコースターに乗って、私の内部を駆け巡る。
「生きづらい事」に、出会った時の、無意識の
逃避行かもしれない。