本当の仕事

少し汗ばんだ身体を、冷やしてくれる様な久しぶりの雨の朝。
もともと、灼熱の太陽には弱いので、こんな日は、ほっとする。

知り合いに
「太陽が昇っている間に、走りたい!」
と、まるで北欧生まれみたいな人がいる。

中学生の頃は当たり前の様に、スポーツのクラブに入ったが、天才みたいに上手い人がいて、
「こりゃ、ダメだ」
と、あきらめ半分で続けていた。
私の中にはスポーツマン精神が欠如している。
のかも知れない。


若い頃の溢れ出るエネルギーを、何処に発揮するかは、人それぞれで、学生時代もアルバイトに明け暮れ、成人した頃にはピカピカの社会人一年生には程遠い存在であった。


まだ女性の社会進出が、認められていない時に、女性ならではの仕事についた。
若い頃は、女性なら、誰もが憧れるファッションの世界に飛び込み、40代からは、他者に貢献できる崇高な福祉の世界に導かれた。

女性を美しく輝かせるファッションの美学から、女性を内面から輝かせる奉仕の美学と言われる世界で、
「事に仕える」と言う意味の仕事からすれば、
何かを成せたかと問われたら、答えようが無い。

自分のステータスのために、成功を追い求め、
自分のためだけの仕事であった様に思う。
売り上げや会社からの評価を追い求め、深く考える事もなく過ぎ去った。

人に教える仕事に着手しだした頃から、「教える事」がない自分に気づき、反対に人から教えられる学びの時間となったように思う。

社会にはもう戻れない歳になり、身についていた虚飾が、少しずつ剥がれ始めている。