めんどくさがりの女

若い頃から、オシャレは好きだが、化粧品にはめんどくさいところがあった。
一度、購入すると、廃番になるまで同じものを使う習性がある。


お化粧をし出して、50年以上にはなるが、
昔から、フランスの有名ブランドを愛用し続けてきた。


デパートの売り場に行けば、美しいお嬢さんに、ヒヤルロンサンやら、コラーゲンの入った化粧品を勧められるが、
「びっくりするほど、高い!」
ので、ご遠慮する。


だんだん、薄化粧にはなってきたが、
すっぴんというわけにはいかず、外出時は致し方なくするが、5分とかからない。


歳を重ねるたびに、本当は、バッチリお手入れせねばならないのに、ここまで来ると、
「やっても、おんなじ!」
と、女を放棄している。


確かにあちこち崩れてきて、どうしようもないが、たまに、プチ整形している友人たちと会うと、夜、鏡の前で、
「目につく箇所を、なんとか繕えば、ましにはなるかも」
と、ため息をつくのである。


もはや、嫁入り道具の化粧台などなく、洗面所の鏡で、牛乳石鹸一つでは、今更何をしても、継続しないのである。

このめんどくさがりやの自分が、
「不幸な女の一生」に、したのかも知れない。
すでに、遅しの心境である。