行きはよいよい、帰りは怖い

優しい粉雪が、

チラチラと、風の中で舞っている。

 

騙し討ちのような日差しには、

乗るわけもなく、

しっかりダウンの冬装束、

 

案の定、

寒い!どころか、指すような冷たさ!

骨まで、疼いて、

不自由な脚が、拘縮気味。

 

何とか、

近くのスーパーに、たどり着き、

買い物はすませたが、

重い荷物が、あだになり、

「行きはよいよい、帰りは怖い」

 

「エイ、ヤー」で、潔く出てきたが、

この有様で、助けを求めたくても、

周りを見渡せば、

私と変わらぬ、

爺さん婆さんばかりなり。

 

杖代わりの傘も、役立たず、

痛みは、人には気付かれず、

あの、ガタガタの踏切さえ渡れば、

何とかなるかも!

 

片道5分のこの距離に、

つくづく、

歳を思い知らされた、帰り道、

電池切れの時計のように、

「うんともすんとも」動かない。

 

自分一人で、頑張ってきた、

70数年、

それでも、死ぬまで、懲りずに、

ギブアップしない私がいる。