良い子、悪い子、普通の子

一昔前、テレビの人気番組で、こんな題名の、コメディがあったように記憶している。
ゲラゲラ笑える内容ではあったが、私の中では
笑えない思い出がある。
古いアルバムの中に、家族写真が、沢山ある。
どの写真を見ても、4人の子供たちの中で、
私だけが、顔が似ていない。
私以外の3人は、おっとりとした、子供の顔つきをしている。
私の顔は、目鼻立ちが、はっきりした男顔。
だからなのか、性格も、男っぽいように思う。
この顔で、得したかといえば、大いに損をして来たのである。
家の中で、何か起これば、私以外の3人は下を向く。
私は言い訳もせず、事実を言うと、
何故か、父親の鉄拳は私に向かう。
母親は、側で泣いているだけである。
長女、長男、次女、三女の、次女の立場は、
当時としては、かなり、弱い立場ではあった。
「いらん子」だったかも知れない。
軍人上がりの父は、絶対男子主義。
お家のためなら、長男のためなら、
敵に、娘を嫁入りさせても、守るくらいの、
勢いの人であった。
徳川家でも豊臣家でもなく、ただ、名もなき家が、「なんぼのもんじゃい!」と、密かに思ってはいた。
顔つきがはっきりしてる、女のくせに意見を言う、私は、いつも、この家で、加害者にさせられていった。
つまりは、悪い子に相当する。
もちろん、良い子はたった1人の男の子、
後の子供は、普通の子に、配役は決まる。
祝福されて、この世に生まれ、この理不尽は、なんだろうと、小さい頃から感じてはいた。
そんな、環境の中で育ち、今の私が確立していると思う。
「世の中に出たら、悪人だらけで、お前のような人間は、誰も助けてはくれないぞ!」と、いつも、言い聞かされて育ったが、
大人になって、社会に出た時、善き人も、沢山いることを、大いに、知ったのである。
そして、悪い人、良い人と、決めるのは、
本人ではないことや、普通と言われる人達が、
声を上げない社会の仕組みも、分かったのである。
だから、私の中に、どんな人に出会っても、
差別をしない心が、出来たのかも知れない。