オカンの焼肉だれ

突然、息子から、
子供の頃食べてた、「オカンの焼肉だれ」
作ってと、頼まれた。
グルメ食品のコードュネーターをしている息子が、上手くいけば、大手の会社から、売り出すからと言われて、ハイハイと、軽く引き受けたが、実は、覚えていなかったのである。
3、40年前の話である。
「そんなん作ったかな?」
とまで、言いだす始末。
裏覚えの食材を、買い込んで、なんとなく出来上がり、「こんなもんかな」と、そっと差し出すと、「こんな味と違うで。」
と、あっさり却下。
調味料変えたり、果物変えたり、何度かトライはしてみたが、全て、通らずで、諦めた。
「貴方が、手作りで作ったんでしょう!」
と、言われて、たしかに、そうではあるが、
手作りなんて、その時の気分。
たれを舐め舐め、こんなもんか!なんて、
言いながら、食卓に出していたので、
よう、わからんのです。
でも、一度も、私の食事など、褒めたことも、美味しいなーといったことのない息子が、
あれやったら、行ける、売れると、商品化しようとまで、言ってきたことに、びっくり。
高校生の頃、
「貴方のお弁当寂しいねん。なんとかならんかな?」と、言われて、京風の松花堂みたいに、
きっちりと、区分分けしておかずを並べてたことが、寂しいお弁当になっていたらしい。
どんなん作ったらいいのと聞いてみれば、
ご飯の上にも、折り重なるようにおかずを何重にも置いて、そのお汁が、ご飯に沁みてるくらいにしてほしいと言われ、
「気持ち悪るー!」と、思ったことを思い出した。
息子からすれば、精進料理みたいなお弁当は、かなわんと思いながら、大人になってからは、かなりのグルメ通になった。
その上、高校生の育ち盛りに、その寂しいお弁当でも、身長185センチ、体重80キロ、日本人離れした、並はずれた身体になったやんと、
感謝してほしいくらい。
あれ以来、密かに、「オカンの焼肉だれ」を
製作中である。
そんな名前の商品が、スーパーに出回ったら、
私の作品ですので、買ってくださいね。