別居結婚

樹木希林さんのおかげで、別居結婚が、
いい意味で、世の中に出た。
私は、一般人だったので、理解される事もなく、当時は、公にはできず、一部の人しか知らなかった。
「ご主人は?」と、聞かれて、
「実は、数年前に・・・」
と言って、殺してしまった事もある。
希林さんの娘さんが、ミステリーと言われたように、開け放された部屋の中で、唯一、ドアを閉ざした異空間の部屋にいた。
夫に対しての、強い主張を打ち出していた様な、気がする。
両親のとんがった部分しか、目にしなかった子供にとっては、悲しみの連続だったと思う。
刃物の様な空気が飛び交う中で、
自分の存在の置き所がなく、家を出た。
夫婦の問題を、子供にも、誰にも説明した事も、言い訳をする事も、あえてしなかった。
それぞれ、責任は、半々であるし、
どの様な形になっても、夫婦の最後が来るまでは、家族としての責任は果たさねばならない。
子供には、常に頭を垂れ、、一人の人間としては、顔を上げて、まっすぐに、歩かねばならなかったことが、狭間の中で、揺れ動いていたことは、確かである。
「貴方には、たくさんの人間関係があるが、
親父は、一人ぼっちなので、俺が面倒見る」と、言い切った息子の言葉が、私が、前に進むことを、ためらわせていた。
長く、生きてる中で、夫が妻のために、妻が夫のために、署名、捺印せねばならない現実が、
多々あるたびに、認識はさせられたが、
もはや、夫と妻、男と女などの範疇では無いと、樹木希林さんが言われた言葉が、ぴったりである。
別居という形態の結婚を、継続したわけも意味も、いつの日か、それぞれの中で解明する日が来るだろうと思う。