急ブレーキもかけずに、
あの曲がり角を、何度も曲がった。
真っ逆さまに落ちるかも知れない、
崖を、思い切り飛び越えた。
引き返せない道を、
後ろを、振り返りもせず、走り続けた。
全くもって、意味のない理由に、
「はい」と言えずに、否定した。
夜の帳の恐怖を越えて、
涙の向こうに、何があるかを探しに行った。
若さゆえに、
知識も経験も、なかったけれど、
純粋な勇気と覚悟が、背中を押した。
あの時の、
熱気と信条の群集の中で、
エネルギーとなって、不条理と闘った。
失敗の上に、失敗を繰り返し、
折れた心を、無くした希望を、
明るい朝が、支えてくれた。
半世紀を越えて、
出会えた数が、思い出の数となり、
生きた証は、数知れず、
良くも悪くも、迷惑はお互い様の、
どうあれ、私のヒストリア。
最終章には、笑いも落ちも無いけれど、
私らしい文章で、私のサインで、
締めくくる。