医学用語で、
自殺願望のある人を、
「希死念慮」と言う。
マンションの静かな廊下を、
前を向いて、歩く姿が、
壁につけられていたカメラに、
最後に、残されていたと聞く。
普段は、
流れの穏やかな川が、
台風後の、濁流で溢れていた。
幸せな日常、
穏やかな暮らし、
安定した生活、
宝物の様に、手に入れた生涯を、
一瞬で、手放した。
「自死」を、選んだ人達には、
必ず、原因はある。
「希死念慮」という、
「死にたい」願望から、
「死のう」と言う、
具体的な目的となる。
「黙っている」
声が、聞こえている、
沈黙の時間に、交わした心を、
理解している。
振り向きもせずに、
貴方が、青い扉の中に、
消えてゆく。
悲しみの勇気を、尊厳に変えて、
永遠に繋げる。