芦屋って不思議な街?

芦屋生まれの芦屋育ちです。この暗号みたいな言葉がパスポートのように通用する街。日本の中でも、高級住宅地のイメージが強く、どこに行っても芦屋からですと言えば「へぇーすごい」と言われるらしい。何にもすごい事も別になく、70年位前からしってはいるが、聞いた事もない。小さな街で六甲山脈から海まで流れる芦屋川も、洪水にもならず、川に沿って植えられた桜がそれなりに咲き、びっくりするほどの景観でもない。ちょっとおしゃれして買い物や飲食はJR芦屋近辺と、小ぶりの大丸、ホテルと言えばビジネスホテルとも言い難い竹園ホテルが一件あるだけ。競争相手もできないので、老舗は残り、ちょこちょこ他県からフード店などが出来るが、よほどのものでない限りいつの間にか消えて行く。海に近い人達も山に近い人達も蒼い空と緑の木々の中に、それなりのお家を作り、上から下を眺めても、下から上を見上げても、どちらも綺麗なので満足されて暮らしてるように見える。芦屋川に沿って車も自転車も走っても、山から海まであっという間の小さな街。噂では芦屋の街は高級外車が多いと聞くが、オートショーのように外車が並んでいても珍しくないので、羨ましくもなく普通の日常になってしまっている。いい意味で人の事には無関心なので、それぞれの生き方には介入しない暮らしがあるのかもしれない。昔からスタイルを変えない街ではあったが、何しろ私も含めて高齢者が多くて小洒落たカフェテラスも美味しいフランス料理店も、ホテルもスーパーもどこもかも老人達のデイサービスになっているのは確かではある。
少子高齢化のモデルタウンといっても過言ではない。大阪からの仕事帰り、芦屋に近づいてくると、車窓から見える景色が落ち着いた色合い、瀟洒な住宅が美しく、疲れていてもホッとした気分にはさせてもらえる。芦屋市が「看板のない街に!」とスローガンをあげてる理由が分かるような気がします。私的には、人も街も我がことさえ良ければの偏った思考ではなく、おおらかな全てを温かく受け止めれる豊かな街になって欲しいと願っているだけです。