結婚生活に、「落第のはんこ」が押された。

今更、言うも可笑しいが、

何故あの時、

「嫌だな」と思ったのに、

我慢などしたのだろう。

 

女の私がシャシャリでて、

物言うことをためらったが為に、

最後まで、

「良き夫婦」として、

終わらなかった原因は、

お互いの意見を尊重し、

改善できなかったからである。

 

たまたま、

広い平屋の一軒家に、住んでいたから、

食事の時以外は、

他人のように、会うこともなく、

「マンションの部屋」を、

其々が、借りているような二人であった。

 

こういう状況になると、

夫婦であっても、手の打ちようが無い。

狭い部屋の中、

「否が応でも、顔つき合わせ」

何日も、物言わず、聞かず、

口を開けば、罵り合う。

 

お互い疲れてはて、いつのまにか、、

平常心に戻ることが、ある。

で、

日常は戻り、

喧嘩したり、仲良くなったりの関係が、

修復されて行く。

 

しかし、

「鍵が閉まったが如く」の、

部屋のドアは、開かずの間、

そうなると。

夫婦であっても。開けることならず、

夫婦関係は、

同じ家の中で、決裂する。

 

いつのまにか、

夫も、食事さえ作っておけば、

なにも、もとめず、

お互い、自由に暮らしだし、

別途の人生を、歩み出す、

 

夫が倒れ、

もはや救いがない状態になっても、

話題も、思い出もなく、

感謝の言葉もなく、天国に召された

 

最初に、

「言えなかった日」から、

ずーっと、

今言わなければ、他人のような関係に、

おわるだろうと、分かりながら、

別れを迎えてしまった。

 

一人ぼっちで、行ってしまった悲しみ、

一人ぼっちで、残された寂しさ、

半世紀を共にした、夫婦であったが、

決して、幸せとは言えない、

結婚生活に、

「落第のはんこ」がおされた。