もう少し

歌手のキロロが歌う、この曲が大好きである。
聴くたびに、涙が止まらない。
生きて、深く関わった人たちの顔が浮かんでくる。
永遠に会えなくなった人達との思い出の中に、
誘われてゆく。
この悲しみを味わう為に、あの清らかな一瞬があったとすれば、出会わなければ良かったと思う。
黙って通り過ぎていれば、気まぐれな優しさに振り返らなければ、
「さようなら、また明日」
と、声さえかけなければ、貴方の人生の最期に、立ち会うことはなかったはず。
繋ぐ赤い糸など無かった人達に、
「貴方のポケットに入っているよ」
と囁くように伝えたのは誰なのか。
始まるドラマは、悲劇に終わる事を知っている。
大切な家族、大切な友人、そして一番大切な人とは、生きている間に別れる方が辛くない。
「いつか、どこかで会えるかもしれない」
と、希望を残せるから。
人生をマニュアル通りに進んでいけば、
必ず、赤い糸が切れる悲しみの時が来る。
二度と会うことの出来ない別れが来る。
だから、「もう少し、そばに居させて」
の歌詞が、心を打つのかもしれない。