秘伝の素麺つゆ

「濃い鰹昆布だし汁⒎カップ
みりん⒉カップ
濃口醤油カップ
薄口醤油1カップ
砂糖18グラムくらい。
市販のだしの素少々。
醤油は分量通りだと辛いので、少しづつ控えてください。
砂糖は、私は三温糖で、18グラムくらいにしてますが、自分の口に合わせてください。
カツオをケチらず、たっぷり使うのがコツです。
あとは素麺の上には、錦糸玉子、きうり、甘辛く味付けした干し椎茸など、お好みで作り、
生姜、ネギをつゆに入れて食してください。」
40年ほど前、どなたが書かれたかわからないが、小さな紙切れのレシピが手に入った。
素麺つゆは、早いうちから市販で美味しいのが、たくさん売り出されてはいたが、興味もあり、作ってみたら、本当に美味しかった。
それ以来、すこし汗ばむ季節になると、このおつゆで食べるお素麺が楽しみで、お鍋いっぱい作るのが、恒例となっている。
ご馳走ではないけれど、お気に入りのガラスの器の中に、たっぷりの氷水をはり、白いお素麺黄色い錦糸玉子、緑のきうりなどの具材を飾ると、洒落たコマーシャルのような食卓になる。
人間とは贅沢で、寒い寒いと、冬には鍋を囲み、暑い暑いと、夏には冷たい素麺を家族で競争して食する民族である。
世界の中でも有名なレストランが進出し、
日本人の舌を唸らせ、老若男女が行列してでも
一度は食べよと、家族のお出かけ場所になる。
食べるために恋人と会い、食べるために友人と会い、食べるために旅行するような文化に、いつからか、日本は変わっていった。
昔の寺内貫太郎一家みたいに、扇風機が回っている部屋で、丸いちゃぶ台を囲み、家族団欒で、暑い夏を過ごす場面は、最近は滅多にないが、誰が作ったかわからない素麺つゆのレシピが、懐かしい、平和な時間を思い出させてくれるかもしれません。