ルーツを知る。

「気になるなら、ルーツを調べたら?」

軽く言った言葉を真に受けた人がいた。

 

真面目に、

半世紀生きて来たが、

家族とも生き別れ、

震災で会社は倒産し、

「ここまで、ついてない運命、

先祖の因縁か恨みでしょうか?」

 

あまりに否定的な事を言うので、

慰めるつもりで言ってしまった。

 

順次、上の代の戸籍を、住所地の市役所に

往復郵便で問い合わせたら、

かなりの先祖まで調べる事ができる。

 

NHKの「ヒストリア」までは、

ちょっと、及ばないが。

 

本気で調べた結果、

ちょっとした、ドラマ仕立てには、

なりそうな歴史が見えたと言う。

 

三代前くらいの親戚に、

「スパイ」がいて、行方不明。

その土地で、銀行経営していたが、

倒産して、中国に逃避行。

隠れキリシタンの宣教師の人も現れた。

 

それにしても、大河ドラマ並みである。

「知ってよかったですわ!」

何だか、顔つきまできりりとしている。

 

後ろを振り返れば、

膨大な数の先祖がいる。

パンドラーの箱を開けてみれば、

知ってはいけないことや、

想像を超えた自分のルーツを、

垣間見る。

 

本当かどうかは、定かでは無いが、

壮大なロマンがある。

 

その友人が一番嬉しかった事は、

「武士の家系」で、あった事。

自分の、今までの生き方の中で、

損得では無い大切なものがあり、

何故なのかが、理解できたと言われた。

 

一滴の血が、脈々とながれている。

血統に誇りを持てば、

生きてゆく、心の支えになるのである。