冬の音が聞こえてくる

少し熱めのお風呂に入って、

髪を洗った。

 

熱った身体を、冷やそうと、

窓を開けたら、

雲のカーテンに隠れるように、

佇んだ白い月と、目があった。

 

南風が、カーテンを押し上げて、

部屋の中を通過してゆく。

 

ソファの背もたれに、顔を乗せたら、

濡れた髪を、冷たい風が乾かしてくれる。

温めた身体が、ガラス細工の様に、

固まってゆく。

 

「気持ちいいなー」

白い月の光を浴びながら、

冬の音が、聞こえる。

地球の回る音が、聞こえてくる。

 

生きてる実感を味わいながら、

過去へと、元返しでゆく想念。

未来へと、馳せる心模様。

時空の中を、

行きつ戻りつ、時間が過ぎてゆく。

 

静謐な夜の帳の中で、

自然の優しさに抱かれて、

内なる私の中へ、落とし込んでゆく。

 

月の光と、冷たい風が、

私の心を浄化してくれる、奇跡の時間。

唯一無二の、

貴重なひと時である。