お一人様「セカンドステージ」

間もなく、

満月になるだろう月が、

「星の見えない夜空」で、

ポツンと、光を放っている。

 

29.5日の、周期で、

1ヶ月に一度、回って来る満月。

毎晩、

月を見上げながら、

地球が、狂いもなく回転している事を、

実感している。

 

まだ、若く、

仕事に追われていた頃、

夕食に、間に合わそうと、

タクシーに飛び乗り、

車窓から、見えていた、

「小さな月」を、思い出す。

 

せめて、

「夕食は、家族と共に」と、

始めた仕事ではあったが、

今のような、

労働基準は、守られず、

家庭ではなく、企業優先の時代。

 

仕事量も増え、泊まりの出張も有り、

朝早く、出かける前に、

夕食のお料理を作り、

「チン」すれば、

すぐに食べれる「レンジ料理」に、

変わってゆく。

 

約束された、

「一家団欒の食事」が、

遠ざかり、

家族の、心模様も変容してゆく。

 

社会の中の、「評価」に、

心が、囚われ、

「生きがい」を、

感じる実感が、大きくなった。

 

「家庭と仕事の両立」を、

欲張りすぎて、

心も、身体も、傷めて、

歳を重ねて、今がある。

 

夢中になって、

生きてきた時間、

得たもの、失ったものは、

数知れずあるが、

 

突入した、

お一人様、「セカンドステージ」

月だけが、知っている、

「私の人生」

 

静謐な部屋の中で、

ゆっくりと、穏やかに、

地球が回っている。