コロナは終わらない
「いつになったら、コロナは終わるの?」
と、不安そうに、言う人たちがいる。
「コロナは終わらないよ」
と言うと、
「えーっ!」と、驚く。
まだそんな人がいるのかと、びっくりする。
歴史を、振り返れば、
数え切れないほどのウイルスが、
地球上に、出現してきた。
戦後、生まれた人達は、
科学も医療も進歩していたし、
すでにワクチンも、治療薬もあったので、
心配もせずに生きてこれた。
昔の人達は、
「産めよ、増やせよ」と、
一組の夫婦に、
10人前後の子供は、ざらにいたのである。
その当時は、新薬などなく、
その子の運だけで、生死が分かれていた。
私の親の時代は、
皆、病気になったり、怪我をしたりすると、
手の打ちようもなく、死んでいったので、
姉妹兄弟半分位しか残らなかった。
人の死はあっけなく、当たり前。
戦争で、戦死し、
食料がなく、餓死、
貧困で、死んでゆく。
そんな時代から、
100年も経たない間に、
日本は、「人が死なない」国になった。
世界一の長寿国である。
戦争は、二度と起こらず、
食料は、摂取量を上回る、食品ロス。
道端で、野垂れ死ぬ人もいない。
世界で、稀に見る、
平和で、豊かな国である。
生まれて初めての、死との直面。
どんな人にも、感染する、
誰でも、死ぬ、
どこにも逃げられない、
想像だにしなかった世界である。
しかし、
世界を見渡せば、
いつも、死と背中合わせの国はある。
生まれて初めてではなく、
生まれた時から、
生きる事さえ、困難な人達は、
貧困と恐怖が、死ぬまで続くのである。
悲しみを抱きしめて、
生きている人たちがいる事を、
忘れてはならないために、
今、
私達は、貴重な経験を、与えられている。