着地点を決める

幼い頃、父親の支配が強い家庭で育ち、

子供の意見などは、一切通らず育った。

暴言は、昔の父親なので、あったが、

さすが、娘に手をあげる暴力はなかった。

それなのに、父に対しての恐怖観念は、

強く持っていたと思う。

 

実母は私が中学生の時に亡くなり、

次の母は、当時では珍しい女医であった。

何があっても、相談する人もいなかったので

大人になれば、この支配から抜け出せると、

その日まで、我慢の年月を過ごした。

 

お金や権力での支配は、まっぴらごめんと、

思っていたので、

献身的な主婦、物分かりのいい母親、

人一倍働いて、仕事で評価されて、

上に立つことを密かに願っていた。

 

何者にも支配されないようにするには、

評価される人間にならねばならないと、

思い込んでいた。

国家資格、

大学院、

国家公務員、

自分を守れる武器を持てば、自由を手に入れ、

弱者を救い、困窮者の道標になれると、

信じていた。

 

厚生労働省管轄の資格を取得し、

教える師となり、たくさんの人達と出会えた。

私を支配する人間はいなくなったが、

尊敬されるような人間にはなれなかった。

 

何故なら、自分が支配されることを拒み、

専門的な技術や知識で、人を救えると、

愚かな考えで、絶望の中にいる人達と、

向き合ったからである。

 

自分から逃げる事しか考えなかった私は、

目的が、自分のためであり、人のためでは、

なかったことを、思い知らされたのである。

 

残された時間、

しっかりと、着地点を見据えて、

道を迷う事なく歩んでいきたい。

そして、今は亡き父の魂と向き合い、

本当の親離れをしなければならないと、

思っている。