私から眼を逸らさないで
皮膚が剥がれ、眼球が飛び出して、
顔が腫れて、私が崩れてしまっても、
どうか、私から、眼を逸らさないで欲しい。
貴方の知りうる私は、
崩れた醜悪の箱の中で、
変わらず、息づいていることを信じて欲しい。
最期までまとっていた肉体というドレスは、
永い旅で、綻び破れて、見るも無残になった。
脱がそうと、指一本触れても座屈する。
「だから、ゆっくりと、自分で脱ぐから、
私から、眼を逸らさないで」
空っぽになった肉体の瓦礫の中に、
私がいる。
探しても、見つからないかも知れない。
探したら、塵芥の中に見つかるかも知れない。
静かに、青く光る石を見つけて欲しい。
この世に生まれる前に、
神様から預かった青い石。
吹き荒れる嵐の中も、壮絶な茨の道も、
「決して放さなかったの!
神様との約束だったから」
だから、最期まで、私から眼を逸らさず、
生きている貴方に、
「確認をお願いしてもいいですか?」