緞帳は、ゆっくりと下ろしたい。

こんな時に限って、

懐かしい人達に会いたくなる。

 

いつでも会えると思っているときは、

どおーって事はないのに、

「今年は、誰とも会わずに、ホームステイ!」

と、言われると、かえって思い出す。

 

風の便りで、情報は入って来るが、

楽しい話は、やはりないのである。

難病になって数年、

その頃はまだまだ元気そうだった人が、

病気が進行し、自宅療養。

 

山の上で住んでる、一人暮らしの友人は、

寂しいから、月曜から金曜まで、

毎日、相手を変えての食事会。

コロナで、それも出来なくなり、

仙人みたいに、山に引きこもりに、

なったと言う。

 

認知症になって、

一人暮らしは、厳しいと心配していた人が

とうとう、息子に引き取られて、

どこかに転居で、連絡は途絶えた。

 

あんなに元気老人と言われていた人達が、

あっという間に、私の視界から消えた。

 

世の中が、

平和な時には、力は発揮するが、

やはり、こんな状況では、

弱者には、もろに影響は来るのである。

 

「健康が一番!元気なうちが花ですよ!」

と、言ってた人達、

「いずれは、順番に会えなくなるね!」

と、笑ってた人達、

順番どころか、

コロナによって、一瞬で変わってしまった。

 

思い通りにならずの人生、

散々味わってはきたけれど、

終わりくらいは、

ゆっくりと、惜しみながら、

緞帳は下りてゆくと、思っていた。

 

いきなり、

ドアが「ピシャ!」

と、閉まるような、終り方は、

老人には切なすぎるのである。