シルバーハウス妖鬼妃

昔、仕事仲間と

「歳とったら、シルバーシェアハウス、

作ろう!」

施設の名前は、

「シルバーハウス妖鬼妃」

と言って、大笑いしていた事を思い出す。

 

その為に、

築70年の、嫁ぎ先の自宅を、

両親が亡くなった後も、

修理したり、改装したりと、

朽ちない様に、維持して来た。

 

あまりの広さに、持て余し、

残念ながら、手放したが、

今考えると、正解だったと思う。

 

400坪の中に、竹藪から畑まであり、

井戸もあり、みんなで自家栽培を、

夢見ていた。

 

しかし、よくよく考えたら、

シェアハウスを作る時には、後期高齢者

誰が、井戸水くむのん?

誰が庭掃除するのん?

ヨボヨボの婆さん達には、管理不能である。

 

古き、良き田舎暮らしは、ヤンピして、

パナソニックかどこかの企業と、

コラボして、「未来の高齢者施設」

と、構想する。

 

家事は、AIロボットにお願いし、

数々の電化製品と福祉機器を備え、

超近代的な施設を、

みんなでお金を出し合って運営を、

夢見ていた。

 

しかし、

周りを見渡せば、私も含めて年金暮らし。

「無理無理!そんなお金あらへんわー!」

と、相手にされず。

 

若い頃の夢は、

何処かにかき消されて、

老いると、現実的になり、諦める。

 

最後の残された時間、

「死んだら終わり!もうちょっと楽しもう!」

と、私は、まだまだ諦めず、

「シルバーハウス妖鬼妃」

の、青写真を眺めている。